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作品たち

戻る烏山区民図書館にて

 

紙袋を持ったおじいさん。浮浪者っぽいけどなんか満たされた顔をしている。老眼鏡を掛けてなんかの厚い小説を読んでる。
そこへ、ジャージをはいて楊枝をくわえた、取れかけパンチパーマの歯抜け男が、ニヤニヤしながらガニ股でやって来た。おじいさんの前にしゃがみ、何を読んでるのかと本を持ち上げ鼻で笑った。やだよ、こわいよう。横で緊張する私。
と、何も反応を示さなかったおじいさんが、ゆっくりと目を上げて男を呆れた様に眺め、音もなくクククと笑った。それを見て男は何とも無邪気にかわいい歯抜けを見せてまた笑った。
男は立って去ろうしたかと思えば、振り返って、おじいさんに一杯行こうと手で飲む格好をしてみせた。おじいさんは、まったく昼間っからというふうに呆れて楽しそうなため息をつき、ゆっくりと立って歩いていった。