聞くもの          見るもの          読むもの

作品たち

戻る

たまごはまわる 1ばんの後半


なぜだか 僕はそのたまごをつかまえて、ポケットにしまいこみ、もと来た方向に走り出しました。野原が終わってるところで立ち止まり 後ろを振りむくと、なんと何千、じゃない、何万いうたまごが のはらの上に浮かんでたんです!すっごい恐くなって、もうがむしゃらに走り続けました。へんな小さな崖みたいなところをほとんど転がるみたいな感じに降りたりしました。すごい動転してて、そのあと覚えてないんです。気付いたら自分のワンアンドハーフでベッドに横になってたんです。私服のままでふとんも掛けないまま寝てました。そのベッドのななめ上ぐらいに例のたまごが浮いていたんです。あまりの疲れにそのまままた眠りに落ちてしまいました。翌朝 目覚めると、たまごは消えていたんです。”


“ あくる日 朝のこと
消え失せた 蜃気楼
たまごは どこへ行った “


その日から、妙にへんなミスをおかす事が多くなって、なんだか ぎくしゃくしてきました。自分が自分じゃないみたいな。まるでなんかの殻がじゃまをして、うまくコントロール出来ないみたいな。それでやっとわかったんです。僕自身がたまごの中にいるんだって!

“ 何もなかったかのように 毎日はやってくる
フィルムに映った髪の毛 震えるよ
会議で意見もないのに手を上げる
パンをこがす 皿をおとす
何これ 誰これ
なれない私 むずがゆい
私じゃない 息ぐるしい

手足を振ると からまり回り 回り回って 回って回って
どんどん暴れだし 回りはじめた
そして 私は知った
私が
たまごの中にいるのだと“