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そのえくぼにある肥沃な湖の氾濫によって、
私の、ガムで踏み固められたアスファルトを闊歩するためのねじが引き抜かれた。
私はくずおれ、やわらかな羽毛にどこまでも落ちていく。
再びこのねじをはめることはもう二度とない。
カサカサのひび割れた指先は、他のねじを引き抜き続けることしか出来ない。
固い鉄のねじ。重い金属音が重なって堤防を築いた。
私はその人のためだけに、その堤防の中で、ある一枚の板を掘り続ける。
それは思いのこもった、重い重いあの人への手紙。
そしてここでこうしていることを一生の喜びにしますと誓う。
さびた彫刻刀から自分のためではない、大量の血が流れ出し、私は喜びに狂鬼と化す。
角が伸びる。
すでにその血はすべてを再生するピンク色の気体ではなく、
ドロドロとした生臭い鉛色の液体に変わってしまっていることも知らずに、鬼の目玉はぐるぐるまわる。
けたたましいアヒルの笑い声に正気に戻され振り返ると、鉄の堤防は羽毛となって飛び散り、
アスファルトに、服を着たドナルドダックたちが下着一枚の私を見て笑ってる。
届けよう
この一枚の木で出来たはがきを
もうねじなんか必要ない
私はゆっくりと立ち上がり
裸足のまま
硬いアスファルトの上を歩き始めた
もう笑い声は聞こえない
朝日につつまれた私の肌は
見たことないほど透き通ってる
届けよう
この一枚の清らかな木片を
誰のためでもなく
私のために