聞くもの          見るもの          読むもの

作品たち

戻る

猫まかにん


松原鬼屋敷きの
大奥、化け猫
おなりぃ
コンコンチキチキ 猫まかにん
浮き世 産女の 猫まかにん

一つ 子のなる
このみ 実のなる
産めよ サアサア
コンコンチキチキ 猫まかにん

化け猫の子 この子 どこの子
この子 猫の子 猫の母の子
猫のママ

キンキラキンの襖開け、
奥を覗いて見てみれば
秋の宇宙の風ふさぶ

泣く子も黙る 遊園地キチキチキ
眠リゃしねぇんだよ

暁月夜の有明の月 渦巻くまくまった
おめぇは誰なんだよ
猫まかにん

開かずの門 おっぴろげんげん
スィボワアイ
猫まかにんにきにきにき...


”あんたんとこのお母ちゃんも、ほんまは猫やったんちゃうんやろか。あたしゃ大奥、奥の、奥の、奥の離れにおりますわ、あんたのほんまのお母ちゃん。産んだ子供は何百匹。そやけど、誰一人私のこと覚えたらへんのやわ。なんか、薄情っちゅうか。まあ、そんな話しも、風に吹かれて、砂に埋もれリゃ、何もなかったっちゅうことやにゃぁ。薄情な風がぴゅうぴゅう吹くわ。”

怨めしや 浮き世の風

一つ子のなる
木の葉 散りゆく
木の葉 シャンシャリ
山の鈴なる
産めよ サアサア
コンコンチキチキ 猫まかにん

奥化けもん 万 産んでは
産んでは食らう だんまりまりまり
猫ネコ囃子

夜明けの晩の 白む頃
奥の廊下を つと行けば
狂ったゆりかご ぐるぐる回る

色に色ある女とは、この化け猫大奥 あたいのことよ
控えおろう