戻る橋
一人で迷って 心細くて
橋の上からゆれる自分を見つめて
泣いてばかりで
涙はもう汚いどろ水になり
乾いた頬を黒くするだけ
私のかたちの
原油みたいな汚い影が
水面にゆらゆらするだけ
私は橋の欄干をぐいっとつかんで足を掛け
後ろにひらりと回転し
心おきなく上昇した
橋も道路も町も海も
本当のかたちは
ただのまる
あぁ、ただのまる
でもこのままふわふわとどこまでも行ってしまったら
みんなを下に見てしまうかもしれない
と、
その空気穴がしゅーっと広がり
私はまた同じ橋の上
同じ場所
いや、でも何かが後ろに隠れているはずと
もう一度
後ろにひらりと飛び上がり
今度は橋の真ん中に立つ