戻るえんぴつ
えんぴつの先にたくさんの死がいが集まって
固くカルシウムだけが残る
灰色のかたまりは
いつか茶色に変色し
重いレールに変わっていく
えんぴつは走り出す
線路はずっと続いてる
重い列車は走り出す
そんなに早くは走れない
昼と夜には境がない
じっと無言で止まったりもする
そしてなぜだか走り出す
決して早くは行けないがどんどん行くだけそれしかない
いつか線路は地面を離れ
ゆっくりと上昇し
空のまん中 トンネルに入る
何も見えない暗闇には
得体の知れない大蛇やきれいな花もあっただろう
いつか間違いなく光が見えてくる
太陽でも月でもないまぶしい光に目はつぶれ
何も見えずに走り続ける
するとしだいに明るくなり
もっと確かに見えてくる
そして辺りを見渡すと
はるか遠く同じ列車が走っていく
振り返ると
走りつかれた自分の体は
すっかり錆びて
砂漠の上
鉄骨だけが風の中にあるのみ
もう痛みも疲れも感じることはない