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作品たち

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たまごはまわる 1ばん前半


抵抗はやめて、武器を置きなさい!
あなた方は 完全に包囲されている。
もう一度告ぐ。あなた方は 完全に包囲されている!!

本日、あなた方に申し上げなければならない重大な事実がここにございます。
それは何を隠そう、あなた方は完全に包囲されている、完全に、たまごの殻
によって包囲されているという 紛れもない事実なのであります!
抵抗はやめて、受け入れなさい。
なぜならこれは、真実の伝道師、
我々の告げる 完全無欠の絶対の事実なのであります!
そう、我々は、ネオンが煌めくサンズの橋も三日にいっぺんモップをかけるぜ
闇と娑婆の伝動装置、
ダイナモ·コレオプテラ!


市民1 なに言ってるんだ! 帰ってくれ!
市民2 どういうことですか?!
市民3 冗談じゃない!一体、政府は何をやってるんだ!
市民4 私には妻も子供もあるんです。
市民5 (沈黙の後) .......           
    
私、実は、こんな体験をしたんです..

あれは、春の終わりの、妙にあったかい夜でした。バイトの帰り、電車で寝過ごして、終点の駅で目が覚めました。普段は降りたこともない駅なんですが、終電まで まだ時間もあるし、バイトで少しやな事があって、ちょっと気分転換でもしようかなと思って、その辺を散策することにしたんです。人気のない坂道を上がっていくと、途中から暗い山道になっていました。まだ明るいから、なんて調子に乗ってどんどん進んでいくと、案の定、すっかり道に迷ってしまいました。どこまで行っても似たような道が続くばっかりで、脇や背中が冷や汗でぐっしょりになりました。すると突然、大きな原っぱに出たんです。満月だったから、そのせいなのかなあ、空が異様に明るくって、原っぱも うそ臭いミニチュアみたいに黄緑色に光ってるんですよ。子供の頃の古い映像を見てるみたいな なんか凄く懐かしい気がして、思わずその中にかけていっちゃったんです。


“ なまぬるい春の夜 細道はくねりきると
野原は光りだす
走る 走る
ホップステップ ふわりとジャンプ
夢野原は 夢の中
影を分け入ると、
春風 山間に息とめる のはらのまん中で ぐるぐるぐるぐる
宙に浮いたまま

たまごは
たまごは まわるー ”