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作品たち

その夜戻る

 

その夜私は眠らずに
白い粉のふいた4階のバルコニーに立つ
大音量のスポーツカーが通りすぎると
ぬれたアスファルトは
街灯にギラギラ光ってる
私はひと思いに
アスファルトのオレンジのギラギラ向かって飛び立った

じゃりりと
歯のうらにくさい血をたしかめると
世の中は紫になって
安いキーボードに入ってる鈴虫の音でならした
綺麗な不協和音といっしょに私は
もうつかれた、と目をつぶる

おやすみなさい